
チークやファンデーションをはじめとするメイクブラシは、価格も素材もさまざま。その中でも高級品として知られているのが熊野筆でしょう。実は熊野筆は、日本が世界に誇れる伝統工芸品なのです。
「熊野筆」って一度は聞いたことあるけど、クマの毛で作った筆のこと…?いいえ、違います!熊野筆とは熊野町(広島県)で作られている筆のこと。熊野町は「筆の都」とも呼ばれ、筆づくりメーカーや、筆づくりの職人がたくさんいます。江戸時代からはじまったといわれる筆作りの技術は、今現在まで受け継がれています。
ちなみに熊野筆の用途はさまざま。メイク用の化粧筆のほかにも、書道用の書筆や、水墨画や水彩画などの画筆といった種類があります。
熊野筆は、毛筆業界として初めて日本の伝統的工芸品として指定を受けました。特に画筆と化粧筆は世界的に有名で、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど、世界各国に輸出されています。熊野筆メーカーの中には、ファッションの本場パリの業界関係者から世界一と評価されたもメイクブラシも。
日本でも、熊野筆メイクブラシは百貨店やデパートのコスメコーナーの一角に置かれ、贈り物としても喜ばれる品となっています。2012年5月には、サッカー女子ワールドカップで初優勝した日本代表「なでしこジャパン」の国民栄誉賞の記念品として、熊野筆(竹田ブラシ製作所)がプレゼントされました。
熊野筆のチークブラシを店頭などで触ってみると、まず驚くのが筆あたりのよさ。まったくチクチクせず、むしろふわふわで気持ち良いです。そのヒミツは、筆先の仕上げ方にあります。工場で毛の束を切りそろえて作る通常のメイクブラシと違い、熊野筆は動物の天然毛を、カットせずにそのまま使用します。
【関連記事】
メイクのプロが「熊野筆」を指名買いする3つの理由
肌触りがとても気持ちいい熊野筆。化粧筆ができるまでのステップを、簡単にまとめました。
ここでは5つのステップで紹介しましたが、本来は73の工程を経てつくられると言われています。熊野筆をつくるには、長年の経験と勘が必要。筆作りの職人は、およそ3年間弟子入りをし、一人前になるまではなんと10年もかかるそうです。
熊野筆の化粧筆の良さはわかりましたが、気になるのがお値段。熊野で作られた「熊野筆」は、たくさんのメーカーが作っており、質もさまざまです。フェイスブラシだと1本3,000円~8,000円ぐらいの幅があります。
あまりに安価なものは、類似品の可能性があるので注意が必要です。「熊野筆」は商標登録がされ、統一ブランドマークがあります。パッケージや商品説明もしっかりチェックしましょう。